オッドアイ・Tの猫とその一味

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オッド・アイ Tの猫とその一味 第26話「平易な言葉で」の巻

白根マラソンの夜、疲れているはずなのに何度も目が覚めた。最初は眠ってすぐ、こんな夢を見て目が覚めた。 部屋の明かりが点いていて、消し忘れるほどすぐ眠ってしまったのかと思ったが、私の机に座っている人が目に入った。去年の夏遊びに来ると言い...
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オッド・アイ Tの猫とその一味 第25話「展望台にて」

北岳山行の仮想は難なく終わったが、私はなぜかジョンのことが気になっていた。この犬の事は何度か書いたが、墓は隣集落とを分ける河岸段丘の斜面にある。ジョンの前に飼われていた犬、マリの墓もそこにある。冬以外彼らはそこの畑に毎日連れていかれて、繋い...
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オッド・アイ Tの猫とその一味 第24話「悲しきポーター犬」

漢字辞書が載っていたテーブルは大学に入って二年目、和光市から西船橋に引っ越した時に買ったもので、この後上板橋にも運んだ。そして14年間の東京生活にけりをつけて戻った時にも持って帰った。それが車庫の中にあるのに気付いたのは壁打ちを始めて間もな...
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オッド・アイ Tの猫とその一味 第23話(改稿)

(少し改めました。) 私はとにかく無事に、できれば一刻でも早く広河原に着いてくれと祈るような気持ちでいた。バスが止まって、後ろのドアが開いた。停留所の看板を見ると「鷲ノ住山」と書いてある。昔、ここでバスを降りて沢伝いに間ノ岳、そして北...
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オッド・アイ Tの猫とその一味 第23話「行きたい場所に花は咲く」

私はとにかく無事に、できれば一刻でも早く広河原に着いてくれと祈るような気持ちでいた。バスが止まって、後ろのドアが開いた。停留所の看板を見ると「鷲ノ住山」と書いてある。昔、ここでバスを降りて沢伝いに間ノ岳、そして北岳に登ったことを思い出し、誰...
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オッド・アイTの猫とその一味 第22話「頗る前衛的~ホウオウシャジン」

「どうでもいいけどどうでもよくないドーナツ襟巻、夏はクールで暑さ知らず冬はホットで寒さ知らず、いざ呼べ奇跡のドーナツ襟巻さあきた魔法のドーナツ襟巻、マスクバンダナ天使の輪、気分を出して踊ろうよ」 その時の歌を思い出したのか、あるいは創...
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オッド・アイ Tの猫とその一味 第21話「ありふれたパラドックス」

私を呼ぶ父の大きな声がして階段を降りると、茶の間に人が集まっている。介護会議の面々のようだが、すっかり忘れていた。それに、施設にいるはずの父がなぜ戻っているのかも思い出せない。回復して家に帰ることになり、これからの対応を検討する集まりであっ...
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オッド・アイ Tの猫とその一味 第20話「教訓の無い人生を歩みなさい」(改稿)

雪の上に猫の足跡が残っている。家と作業所と車庫と納屋を取り巻いて何本かの複数の足跡が雪の降った朝できている。足跡から猫の色を判別することはできないので、何匹通ったかは分からない。猫は建物に沿って歩き、所々に大便を残していく。猫が主に歩く軒の...
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オッド・アイ Tの猫とその一味 第20話「教訓の無い人生を歩みなさい」

雪の上に猫の足跡が残っている。家と作業所と車庫と納屋を取り巻いて何本かの複数の足跡が雪の降った朝できている。足跡から猫の色を判別することはできないので、何匹通ったかは分からない。猫は建物に沿って歩き、所々に大便を残していく。猫が主に歩く軒の...
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オッド・アイ Tの猫とその一味 第19話「このいのちなにをあくせく」の巻

色だけを変えながら、その後も私は裸でもじゃもじゃ頭で靴だけ履いた姿で描かれた。時々帽子を被ったりタオルを巻いたりしてアピールしたが、変化はない。写実性に疎く、先入観だけの絵を私は毎日見せられた。 ~11月21日きょうはふったりやんだり...