オッドアイ・Tの猫とその一味

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オッド・アイ Tの猫とその一味 第30話「肉球ラーメンの秘密」

休館日の月曜は昼間バドミントンをした後ドームで走り、それから坂町に食料品を買いに行く。食品を買う前に同じ建物の中にあるラーメン屋に寄って遅い昼食にするのがこの頃の例だ。午後三時頃、客が来ない時間帯なのか主人はいつもカウンターの一番奥の席で壁...
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オッド・アイTの猫とその一味 第29話「そして夏が来る」

深沢のYはしがないか菓子工場で働くしがない女工である。社長も含めて100人いる工員の中の百番目だ。女工の仕事は機械から吐き出されるいもり型のビスケットを手早く12個入りの箱に詰めること。遅ければ叱られるし、ひとつ多くても少なくても計量のブザ...
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オッド・アイ Tの猫とその一味 第28話「探偵の報酬②飯豊猪命の会」

以前5月の末に光兎山のヒメサユリを見る登山を公民館事業としてやったことがあったが、この時は何輪も咲いてなくて、おまけに天気予報も外れて参加者には申し訳なかった。もちろん下見もしているが、バスをお願いしていることもあるし参加者の都合もあるから...
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オッド・アイ Tの猫とその一味 第27話「探偵の報酬①」

昔は下関の駅前も賑やかだった。旅館があり、雑貨屋があり、八百屋もあったが、今はどれも店構えはそのままに閉じている。猫探偵事務所はその一角、やはり四十年も前に閉店したラーメン屋である。「七転八起亭」、当時のまま錆びた看板が虚しい。入口のガラス...
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オッド・アイ Tの猫とその一味 第26話「平易な言葉で」の巻

白根マラソンの夜、疲れているはずなのに何度も目が覚めた。最初は眠ってすぐ、こんな夢を見て目が覚めた。 部屋の明かりが点いていて、消し忘れるほどすぐ眠ってしまったのかと思ったが、私の机に座っている人が目に入った。去年の夏遊びに来ると言い...
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オッド・アイ Tの猫とその一味 第25話「展望台にて」

北岳山行の仮想は難なく終わったが、私はなぜかジョンのことが気になっていた。この犬の事は何度か書いたが、墓は隣集落とを分ける河岸段丘の斜面にある。ジョンの前に飼われていた犬、マリの墓もそこにある。冬以外彼らはそこの畑に毎日連れていかれて、繋い...
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オッド・アイ Tの猫とその一味 第24話「悲しきポーター犬」

漢字辞書が載っていたテーブルは大学に入って二年目、和光市から西船橋に引っ越した時に買ったもので、この後上板橋にも運んだ。そして14年間の東京生活にけりをつけて戻った時にも持って帰った。それが車庫の中にあるのに気付いたのは壁打ちを始めて間もな...
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オッド・アイ Tの猫とその一味 第23話(改稿)

(少し改めました。) 私はとにかく無事に、できれば一刻でも早く広河原に着いてくれと祈るような気持ちでいた。バスが止まって、後ろのドアが開いた。停留所の看板を見ると「鷲ノ住山」と書いてある。昔、ここでバスを降りて沢伝いに間ノ岳、そして北...
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オッド・アイ Tの猫とその一味 第23話「行きたい場所に花は咲く」

私はとにかく無事に、できれば一刻でも早く広河原に着いてくれと祈るような気持ちでいた。バスが止まって、後ろのドアが開いた。停留所の看板を見ると「鷲ノ住山」と書いてある。昔、ここでバスを降りて沢伝いに間ノ岳、そして北岳に登ったことを思い出し、誰...
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オッド・アイTの猫とその一味 第22話「頗る前衛的~ホウオウシャジン」

「どうでもいいけどどうでもよくないドーナツ襟巻、夏はクールで暑さ知らず冬はホットで寒さ知らず、いざ呼べ奇跡のドーナツ襟巻さあきた魔法のドーナツ襟巻、マスクバンダナ天使の輪、気分を出して踊ろうよ」 その時の歌を思い出したのか、あるいは創...