オッドアイ・Tの猫とその一味

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オッド・アイTの猫とその一味第75話「ハクサンシャジンの尻尾」の巻

今までの人生とその結末を因果付ける大ピンチを我々が迎えていた頃、Y似で猪使いの巫女は大日岳を往復していたようだ。彼女ひとりがなぜ捕らえられず、仲間を残してなぜ大日岳の向かったかは分からないが、我々は煙の充満する小屋から二人の鼻黒に頭と足とを...
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オッドアイTの猫とその一味第74話「バームクーヘンorイワシの糠漬け」

 ところが私の提案は無視され、鼻黒は導火線(猪の尻尾)に点火した。私の話を嘘だと見抜いたのか、目的がバナナの燻製だったのか、どちらかだ。ニッコウキスゲの大群落が数十年に一度の現象なら、その花粉を塗して作るバナナの燻製はヒメサユリの球根より貴...
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オッドアイTの猫とその一味第73話「また一難」の巻

本山からは二日前には見えなかった景色が広がっていた。何が見えて何が見えなかったかははっきりしないが、縦走路の果て、我々の目的地、連なる峰々の先の朳差岳まではっきり見えている。「今日はあのとんがり、北股岳の手前で泊まります。普通に歩けば明るい...
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オッドアイTの猫とその一味第72話「観音菩薩坐像」

 今週父の一周忌があります。仏壇を掃除していたら観音菩薩像を倒してしまい、右の手首が折れてしまいました。アロンアルフアを買ってきて、くっつけていると、左も欠落していることに気づきました。いつ折れたのか分かりませんが、仏壇とその周辺を探しても...
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オッド・アイTの猫とその一味第71話「郵便体操」

 猪の体は衝撃に強い構造になっているのか、岩場から転げ落ちるとすぐ藪を漕ぎ始めた。二匹目も転げ落ちてやはり藪を潜って進み始めた。最初から藪を漕ぐべきだったかもしれない。私は猪の落ちた辺りを慎重に登って御秘所の上に立った。御前坂の九十九折をバ...
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オッド・アイ Tの猫とその一味第70話「縦走はとてもとても」

週末のためか、本山から下ってくる多くの人とすれ違った。切合小屋に泊まったという人もいるし、本山小屋に泊まったという人もいるが、犬と猪と人間のパーティは珍しいので、最後尾を行く私に質問した。 「猪と犬とは喧嘩はしませんか」 「今まではしま...
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オッド・アイTの猫とその一味第69話「元々脈は無いかも」

報告③ズボンに毛が付くので私も猫棒を作りました。最初は配達する人のように単なる棒でしたが、振り回していると手が疲れるので、棒の先に台車に付けるような小さな車輪をひとつ付け、更に二枚の板を合わせて貼って三角になるような先端を作りました。つまり...
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オッド・アイ Tの猫とその一味第68話「猫棒」

看板の下には鼻黒と猪とが好奇心を募らせて集まってきた。しかし、一様にがっくりと肩を落とした。看板の下にぶら下がった値段表には「飲み放題食べ放題。但しヒメサユリの球根5個也」と書かれていたからだ。そこに大きな袋を担いでY似で猪使いの巫女が来た...
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オッド・アイ Tの猫とその一味第67話「松ほどでもない」

順番に運ばれてくる水を沸かしてアルファー米の入った袋に注いでいく。 「何がいいですか。五目ですか赤飯ですかピラフですか山菜おこわですか」  そうしているとマダムが小屋から出てきて私を呼んだ。 「20分経ったら食べてください...
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オッド・アイ Tの猫とその一味第66話「三国小屋地形図松竹梅の巻」

  小屋の壁はすべて地形図で覆われていた。天井も隙間無く地形図が貼られ、さながらモダンアートである。しかも一枚二枚の厚さでなく何枚も重ねて貼ってあるので、紙自体が壁の役割をしているようだ。ただ、私の地形図が貼られたのは最近のはずだから、仔細...