オッドアイ・Tの猫とその一味

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オッドアイTの猫とその一味第95R「人間以外」

人間は人間以外の物に生まれ変わるようだ。蛙とかもぐらとか、植物以外に生まれ変わる。大概は人間というものに見切りをつけてももんがとかあなぐまになる。けれでも中には過誤を犯し、その償いもできずに未練を残した場合、人間に戻りたいと考える。この場合...
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オッドアイTの猫とその一味第96R「忘れた約束は無かったことに」

幾人かの人と約束とも言えない約束をしてきたが、どれもこれも、なに一つ果たせていない。どれもこれもなにひとつ。長者平の池塘には夏の雲の中にイワイチョウが咲く。それを見ながら思うことは、生き方を変えた彼らの消息さえ知らない私とは何者かということ...
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オッドアイTの猫とその一味復路97「百人の郵便夫が百通の手紙を運ぶ」

百人の鼻黒郵便夫に託された百通の手紙に重要な物は無かったので、急ぎの物も無かった。けれども一週間もしないうちに百人の鼻黒郵便夫は小屋を去り下山した。中には手紙を落とす鼻黒もいる。手紙には宛先も差出人も書いてないので、最初に通りかかった郵便夫...
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オッドアイズTの猫とその一味98-復路「食べられない凍み豆腐」

覚めてしまえば泡の如く消えるたった今見ていた夢。幸い私はそれを百話の物語に留めておいた。その百話目が頂上だとすると、雲が湧くだけ、なんら眺望は無く空しく引き返したのだ。登ってきたのと同じ道を下るのを登山ではピストンという。忘れていた事を思い...
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オッドアイTの猫とその一味第99-2「だぶだぶ猫の捕まえ方」

車の上に箱を置けば次から次へとだぶだぶ猫は捕まえられる。常に腹ペコの猫なので自発的に箱の中に入り、満腹になって眠ったところで箱の蓋を閉めると、一個の郵便物が完成する。だぶだぶ猫は一枚の厚手の風呂敷のような形態なので、箱に入れるより箱を包んで...
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オッドアイTの猫とその一味第100-2話「折り返し地点」

人生の折り返しはとうに過ぎて、時々ゴールさえ見えてこようという年齢だけれど、精神的には右往左往、歩く道さえ定まらず、ペースさえ掴めないマラソンの5㌔辺り。自分自身も含め、気に掛けてくれる人がいる限り棄権はできない。そんな気持ちで遠いゴールを...
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オッドアイTの猫とその一味第100話「要返信文書」

鼻黒郵便夫が水曜日の夕方一枚の葉書を配達してきた。高校の同級生で、年賀状だけやり取りしているが、今年は来なかった。葉書には七人目の孫ができたことと、一杯飲みたい、みたいなことが簡単に書かれていた。和光市に住んでいた浪人時代、デザインの学校に...
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オッドアイTの猫とその一味第99話「茜色のだぶだぶ」

私が手紙を受け取って読む間、鼻黒郵便夫は傍らに立っていました。読み終えて彼を見ると着払いだと言うのです。私は小屋の裏に行ってカニ券を探し採ってきて渡しました。鼻黒郵便夫は表と裏と二度ずつ見て、それから目を丸くして驚き、よだれを垂らしました。...
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オッドアイTの猫とその一味第98話「汚いだぶだぶ」

だぶだぶのぬいぐるみを着たようにだらしなく太り、掘ったばかりのさつまいものように汚い猫が出現するようになりました。鼻黒鼻白種も太ってはいますが、こんなではなく、きれいではないですが、こんなに汚くはない。こんなに太っている訳は分かりませんが、...
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オッドアイTの猫とその一味第97話「生きている証」

その征平さんが「いつか朳差の小屋の番人になって、夏の間だけでもあそこで過ごしたい」と良く言っていた。その希望は叶わないまま、大熊小屋からの帰り、西俣で滑落死した。もし彼が沢山のしがらみを断ち切って朳差小屋に入ったとしても、元々この小屋は管理...