オッドアイ・Tの猫とその一味

オッドアイ・Tの猫とその一味

オッド・アイ Tの猫とその一味 第五回「過去のことしか占えない」 

小さな誤算はあっても大きな破綻は無く日常は過ぎる。時間と能力が許す範囲の仕事をこなして夜を迎える。  猪が何かを引きずって登山道を歩いている。それは見覚えのある風呂敷にくるまれていたから収蔵庫に入れた尊徳の頭だと分かった。私の留守中に田町...
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オッドアイ・Tの猫とその一味 第四回「セニョリータ田町の正体」

「お客様がお待ちです」と言われて事務所に入ると、麦わら帽子を深く被った男が椅子に座っていた。顔は見えないが、夢の中では見慣れた例のTシャツを着ていたので医者だと分かった。「これは先生、どうも」 「急にすみません。患者さんの職場環境を見るの...
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オッドアイ Tの猫とその一味 第三回「人生に落とし穴はつきもの」

なぜか猪の代わりに穴に落ちたのは私だった。どしんと地面に落ちるとすぐ目の前に尖った杭がある。運の悪い猪なら、まっすぐこの杭の上に落ちて一巻の終わり。運が良かったとして2週間竹竿にぶら下げられて干物になる。自力では上がれそうもないので私は声を...
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オッドアイ・Tの猫とその一味 第二回「Tの罠にまんまとはまる」の巻

夢の続きが見たくてすぐ眠り、稀に夢の続きが始まることがある。しかし、目覚めた時の疑問や感情が反映されてそれは意図的なものになりがちだ。慰霊碑まで戻って、その裏に書かれた文字を読んだら例えばこんな風に書かれているだろう。「平成10年9月10日...
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オッドアイ・第一回「笑って死ななければ生きてきた意味はない」

オッドアイ・Tの猫とその一味「第一回、にしては長過ぎた、の巻」 私が中学生の頃、隣の叔父の家で犬を飼い始めた。もらってきた中型の黒い雑種だったと思うが、玄関に繋がれた犬を飼い主以上に可愛がったのは私の母だった。飼い主より母に慣れて、二...