オッドアイ・Tの猫とその一味

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オッドアイTの猫とその一味第83話「エスケープルートは3本」

私のそんな様子をしっかり見ている者がいた。双眼鏡師である。往路我々がこの小屋に近づくのを見ていた同じ二階から私を見ていた。「私はここに残ります。下界に戻ってコロニャに罹かって死ぬのは嫌なので」さすが双眼鏡師、私が広げた手紙まで読んでいたよう...
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オッドアイTの猫とその一味第82話「コロニャンと金満家」

北股の急斜面の、深く掘れたジグザクの道を下るとギルダ原、飯豊に咲く花のすべての種類がここに咲く。花に関心のあるものは立ち止まり、膝を突いて眺めずにいられないし、そうでなかったとしても「きれいだ、美しい」と感嘆して前に進めない。「この小さな花...
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オッドアイTの猫とその一味第81話「ちぎれるほど手を振る」の巻

私らは手がこんななんで乾杯できないのが残念です。バケツから頭を出して猪は言った。「うまいです。うまいです。乾杯できなくてもうまいです。でも昔はもっとうまかった気がします。きっともっとうまかったです」「賞味期限が切れているからかもしれません」...
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オッドアイTの猫とその一味第80話「飯豊のコマクサ」

コロニャのおかげでTが一時的に金満家となったとしても、やがて元の木阿弥、少しでも商才があれば自分の家をコロニャ病院にして全国の愛猫家から永続的に埋葬料を徴収することもできるだろうがと、彼の将来を危ぶんだ。昨年兄が死に母が続けざまに死んで、今...
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オッドアイTの猫とその一味第79話「コロニャの蔓延」

「そうですそうそうその通り、昔は立派な双眼鏡師だったのですが、器用貧乏というか、なんでも器用にできるので、一つのことに専念できず、今は見えるものも見えなくなってこんな感じです」そう言って一通の手紙を自由になったSさんは私に渡した。放浪する半...
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オッドアイTの猫とその一味第78話「彼の勲章」

「私らは半猫なので影が薄いです」「私は半人前なので半猫より悪いですが、影は人並み、一丁前です。だから影のことは気にしない方が良いでしょう」「私らはだめですだめですまるきりだめですからきしだめです後悔だけが生きる証です」目の前の山は烏帽子岳、...
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オッドアイTの猫とその一味第77話「だれでもそうだ」

反省的な気分は人を下向きにする。足元を見て歩きながら懐古的であった私は、花輪が落ちていないことにしばらく気づかなかった。前を歩く鼻黒AかBの首に沢山の花輪が掛けられているのを見て、ようやく気付いたのである。それは首の長さを越えて頭の領分も侵...
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オッドアイTの猫とその一味第76話「明日の事は今日分かる」の巻

沢山の大事な人とそうでもない人と出会い別れて生きていく。なにもしないで生きていくことは易しいようで難しい。為体が楽でないように。どうでもいいような、だれも覚えてないような約束が今日を生きる理由になり、一日もないがしろにできない気持ちを持続さ...
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オッド・アイTの猫とその一味第75話「ハクサンシャジンの尻尾」の巻

今までの人生とその結末を因果付ける大ピンチを我々が迎えていた頃、Y似で猪使いの巫女は大日岳を往復していたようだ。彼女ひとりがなぜ捕らえられず、仲間を残してなぜ大日岳の向かったかは分からないが、我々は煙の充満する小屋から二人の鼻黒に頭と足とを...
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オッドアイTの猫とその一味第74話「バームクーヘンorイワシの糠漬け」

ところが私の提案は無視され、鼻黒は導火線(猪の尻尾)に点火した。私の話を嘘だと見抜いたのか、目的がバナナの燻製だったのか、どちらかだ。ニッコウキスゲの大群落が数十年に一度の現象なら、その花粉を塗して作るバナナの燻製はヒメサユリの球根より貴重...