オッドアイTの猫とその一味第99話「茜色のだぶだぶ」

私が手紙を受け取って読む間、鼻黒郵便夫は傍らに立っていました。読み終えて彼を見ると着払いだと言うのです。私は小屋の裏に行ってカニ券を探し採ってきて渡しました。鼻黒郵便夫は表と裏と二度ずつ見て、それから目を丸くして驚き、よだれを垂らしました。噂に聞いたカニ券を初めて見た表情です。それから大急ぎで来た道を帰るのを見送ってから、朳差岳の頂上に登って振り返ると、もう鉾立峰の頂上に鼻黒郵便夫は着きそうでした。カニ券は郵便夫を二倍速くするようです。そして、その頂上では大きな荷物を持った鼻黒郵便夫がいて、カニ券を持った鼻黒郵便夫が登ってくるのを待っているようでした。荷物が着く前にカニ券を採っておこうと小屋に戻ると、既に荷物は届いていて、鼻黒達がその荷物を取り囲んで、中身を推測している最中でした。私はまた裏に行ってカニ券を数枚採ってきて、その内の二枚を鼻黒郵便夫に渡しました。するとやはり表と裏と二度ずつ見て、目を丸くして驚き喜び、そしてよだれを垂らしました。段ボールを開けると、一匹の猫がぐったりと横たわっていました。手紙のとおり汚いだぶだぶです。いくら狭い所を好む習性があっても、水も飲まないで半日では揺られればぐったりするでしょう。私は段ボールに入ったままの猫の顔に4リットルの焼酎の容器に入った水を掛けてやりました。そのほとんどは猫の体を冷やし、わずかばかりの水を飲んだようです。そうしている時、また段ボールが届き、おそらくこれがさっき鉾立峰にいた鼻黒郵便夫が担いでいた荷物です。中身は同じ汚いだぶだぶ猫だったので、同じように水を掛けて冷やしてやりました。それから夕方まで荷物が三個、だぶだぶが三匹追加で届きました。なにかうまい方法で汚いだぶだぶを捕まえることができたのでしょう。ちょうど夕立が来たので、我々は手分けして、五匹の汚いだぶだぶにたっぷりのシャンプーを付けて洗いました。大きな泡の塊はちょうどバスケットボールの位の大きさで、それはごしごしと洗えば洗うほど白から黒色に変わっていくのです。夕立が終わる頃には、すっかり白くなった猫が五匹揃い、小屋の横に運んで並べ、日本海に傾く夕日で乾かしました。五匹はあんまり白くなったので、夕日に映えて茜色に見えたのです。