オッドアイTの猫とその一味第95話「来世はハワイで」

そこに行けばすべては幻に見える。果たせなかった夢も守れなかった約束も、悔いも怒りも。鼻黒、半猫もそうだろう。水汲みさえしていれば、なにも考えなくて良い。鼻黒は鼻黒のまま、半猫は半猫のまま、そして私は今の私のまま、生きて暮らして何の悔いも無い。すべてが幻だ。その朳差岳が指呼の距離にある。
~師走に入って寒さが本格的になると「いくら暑くても夏の方が良い」と誰もが言うようです。寒いだけでなく降雪による様々な面倒が発生するからでしょう。だから若い時はともかく、還暦を過ぎると「今度生まれてくる時はハワイで生まれてサーファーになる」と挨拶代わりに皆言います。常夏の島では海岸に寝ころがっていれば波が椰子の実を運んできて、それを拾って穴を空けて飲んで一日が暮れる。今生は無理だからせめて「いつも7月」の朳差岳に行きたい。それは幻かもしれませんが、幻でないものもまたありません。父のために買っていたホッカイロが沢山出てきました。寒さのためか頻繁に電源が切れるスマホに貼って使っています。~
更に一通の手紙を読んで、いよいよ朳差に向かうことにした。夢が夢だと思える場所。