2023-03

今日の風景

Fさんの太鼓判

先月の十五日に父が死んで、今週の日曜日に四十九日の法事になる。肉親を失くすのは36年前、一月に祖母、そのひと月後に祖父と死んで、それ以来のこと。大学を卒業して塾に勤めて、そんな冬だった。その時の塾長、H先生は音信の度、父母の様子を気にしてく...
オッドアイ・Tの猫とその一味

オッド・アイTの猫とその一味第53話「能天気が一番」

私はY似で猪使いの巫女を起こさないように、静かに、そして速やかに五人分の朝食を準備した。猪が串刺しの丸焼きになって、Y似で猪使いの巫女の朝食となるのを避けるためである。食事といってもお湯を沸かしてアルファー米(乾燥した米)の入った袋に入れる...
オッドアイ・Tの猫とその一味

オッド・アイ Tの猫とその一味第52話「梅花皮小屋にて」

北股からの下りこそ軽率な輩は要注意である。左は急な崖になっていて、べろっとしていれば容易に滑落する。奈落の底のように見える石転びの雪渓まで落ちて、そこから今度は45度の斜度の雪渓を転がり落ちる。石転びの出会いに憚る大石にぶつかってバウンドし...
オッドアイ・Tの猫とその一味

オッド・アイTの猫とその一味第51話「もっこりの秘密」

門内小屋の二階の窓から双眼鏡で我々を見ている者がいたが、近づくといなくなった。小屋の重い扉を開いた時に、玄関に立って迎えたのはその男だ。   「門内小屋にようこそ」 首から双眼鏡をぶら下げた男は言った。飯豊の小屋の管理人の...