天気が良ければ今日は縦走の最終日で、薬師岳から太郎平に下って、折立への道を辿っていた頃だろうと恨めしく思った。けれども、この首や肩の痛みで中止にしていたのかとも思う。三泊四日縦走の天気ばかりを気にしていた4日前の9月8日の夜に突然首と肩が痛くなり、寝返りもうてない状態になった。ひと月半ほど前の7月の末にも全く同じ症状が出たが、この時は3日目の朝に嘘のように治った。傾げられなかった首を傾げて不思議に思ったが、今回はそういうわけには行かず、1週間経って医者に診てもらった。首の骨には異常無く、鎮痛剤と貼り薬を処方して貰ったが、この鎮痛剤は以前インフルエンザに罹って、関節痛がひどかった時に出してもらった薬と同じだった。その時は全く効かなかったので、ほとんど飲まずに残っていたのを見つけ、慰めのつもりで医者にかかるその朝まで飲んでいたものだった。家に帰ってから改めて見比べても、全く同じ薬でがっかりしたが、他に手段が無いのでしっかり飲んでいる。そして寝る前だけはバファリンを追加で飲んで、いくらかでも楽に眠れるようにしている。前の時もそうだが、突然痛くなった原因は分からない。ただ今回はベットに下に落ちていた本を取ろうと手を伸ばした時に首に激痛が走ったのを後で思い出した。それは前日の休みの日で、痛み始めた一日以上前のことである。こういうわけで、原因はともかく、「痛っ」と呻いて毎日過ごしているこの頃だから、天気予報が良かったとしても、この首、肩の痛みのままザックを担ぎ、山に登れたかは分からない。五色ヶ原から薬師岳のルートは他の北アルプス領域と比べて割と混まない所なので、予報を見ながら直前でも小屋の予約もできると思い、予約もしていなかったが、予報が好転したら行っていたのかもしれない。結局、予報はずっと悪いままで山行は中止としたが、私は夏季休暇を含めて4日間の空きがあるので、この痛い首と肩でも行ける所、見れる場所を探して糸魚川にした。
糸魚川市は北アルプスの北端で、富山、長野との県境に小蓮華、雪倉、朝日、そして栂海新道を持つ。白馬から針ノ木までの後立山を登る時は、高速を糸魚川で降りて姫川に沿って国道148を南下し白馬村や大町市に入るので、度々通る場所だが、通るだけだ。通るたび目を引く翡翠峡や雨飾山荘の看板、明星山の異形などにも興味を引かれるけれど寄り道する時間は無い。また、大学を卒業した翌年の1987年、糸魚川と松本を結ぶ大糸線の北小谷駅で降りて白馬、雪倉、朝日を周回したことがあった。新潟と長野の県境、姫川沿いにあるはずのその駅も39年ぶりで見てみたいという思いもあった。
4日の内、平地で雨が降らないのは土曜日曜の2日間だけなので、一泊で糸魚川を訪ねてみた。

塩の道、松本街道(千国街道・糸魚川街道)は姫川、長野に入って高瀬川、犀川沿いに続く道。先ずその資料館を訪ねた。週末だけの開館ながら、収蔵した706点のボッカ運搬用具が国の重要文化財になっている。管理者の方に説明してもらいながら1時間ほど見学した。


次に訪ねたのは高浪の池と明星山

明星山が高浪の池に映る姿が良くポスターに使われているが、生憎曇天で、ここから明星山は見えなかった。ここを含めて周辺は白馬山麓国民休養地となっていて、キャンプ場や食堂もあったが、シーズンを終え、閑散としていた。

小滝川のヒスイ峡。聳える山は明星山。

明星山展望台。明星山は日本有数のロッククライミングのゲレンデで、この直下が小滝川ヒスイ峡。

クライミングする人を探したがいなかった。

新潟ゴーツートラベルを利用して姫川温泉翠泉閣に泊まる。オールインクルーシブだが、納得いくまでは飲めない。というより簡単に納得してしまう。

2日目は県境を越えて、大糸線が長野に入って最初の駅、北小谷駅へ。

39年前の写真

29歳の私

駅から林道を辿って登山口へ。そして風吹大池のキャンプ場

駅前の看板

よく見ると風吹大池も描いていた。この駅からそこまで歩いた記憶は皆無で写真も無い。そこから2日目に小蓮華、白馬、そして雪倉、朝日と三泊(もしかすると4泊)で回った写真が残っている。

風吹大池から白馬へ。ここは白馬大池を見下ろす乗鞍の下部。雲に隠れているのは雪倉か。

三国境に荷を置いて白馬をピストン。そして、雪倉、朝日へ向かうところだろうか。左端に朝日小屋に向かう水平道のようなものが見える。

テント泊装備で風吹大池から白馬に登り、そこから朝日岳までは、いくら若くても無理だろうから、ここは雪倉岳の麓だろう。もちろん正規のテント場ではない。

3日目のテント場は朝日小屋か?朝日小屋にこんな山ぎわの場所があったか?雪倉と朝日小屋は短すぎるので、朝日岳を越えた五輪尾根のどこかかもしれない。

朝日岳から五輪尾根を辿って蓮華温泉へ。そこからバスで平岩駅まで行き、再び大糸線の乗って東京に戻ったのだろうが、バスや電車の便を考えると、その日の内には無理かもしれない。蓮華温泉のキャンプ場に最後泊まったのかも知れない。あるいは3日目に泊まった場所が五輪尾根のどこかだったら、早い時間に蓮華温泉に着いて、その日の内に帰れたのかもしれない。記憶も写真もないが、最後着いた駅が新潟の端っこで(多分平岩駅)、夏休みに帰郷もしないで山をほっつき歩いている自分がいかにも親不孝に思えてきたことだけ良く覚えている。

その山行で余ったフィルムで撮ったものだろう。当時住んでいた西船橋のアパート。今もこの登山靴はとってあるが、量ったら片方で1,150g、今一番履く登山靴の倍以上の重さだ。

北小谷から糸魚川市街に行って牧野飴店を探した。なんとか見つけて、それからフォッサマグナミュージアムへ。

栂海新道の紹介もあった

ミュージアム前のヒスイの噴水

駐車場から見えた黒姫山。翡翠の鑑定会をしていた館の職員の方にお聞きすると、明星山、黒姫山とも石灰岩の山だが、採掘しているのは黒姫山だけなのだそうだ。海に近く容易に運び出せるからだそうだ。
じっとしている時の方が肩、腕の痛みを感じ、運転中はなぜか左手をヘッドレストに掛けていると楽だった。健康の有難みを知る糸魚川の旅となった。

