磐梯山 2008/9/28

常に先へ先へと急ぐ池田さんはこの時も我々が頂上で記念撮影している時には昼食の場所取りをしていてくれた。頂上のすぐ下にある山小屋のような売店のような小さな小屋は閉まっていて、その小屋の軒下のベンチを二ヶ所取ってくれていた。登山客は多く、ちょうど昼時、こんな良い場所が空いていたので大変喜んでいる様子が伺われ、早く座れと手招きしていた。我々も大変喜んで座って、こんな良い場所!ありがとう!みたいなことを言って弁当を広げ、名山に登った達成感に浸りながら乾杯して食べ始めた。そこに、学生風の男女二人が現れ、きょろきょろと小屋を回り始めた。ああ、この小屋を開けにきたバイトだなと咄嗟に判断した池田さんは「入口はこっちだよ」と反対側の方を指さし、そして立ち上がって誘導さえした。そして戻ってまた談笑に加わった。しかししばらくすると、さっきのバイトの一人がやってきて、申し訳なさそうにここをどいてほしいと言う。あなた方の座っているのはベンチではなくて売店のカウンターだと言うのだ。ええ!と驚いて大急ぎで片付け始める我々を、隣のベンチに座って冷ややかに見ていた石山さんと三須さんではあったが、彼女達にも彼は近づき「すみません、ここもそうなんです」と、これは半ばあきれた感じで述べた。二人はおにぎりをほおばりながら我々よりも大急ぎて片付けた。そして、南京錠の掛かった、我々が今まで背もたれとしていた板を彼が外し、我々が今まで喜んで座っていたベンチが確かに売店のカウンターになっていくのを、あるいは箸を持ったまま、あるいは缶ビールを持ったまま、呆然と見ていたのであった。カウンターはもちろんのこと、店の前に座って食事もできないので、少し離れた場所に移動して、なにかおかしいような切ないような気持ちで食べていたら「こんな昼時になってやっと店を開けるなんて遅すぎる」と池田さんは文句を言い、みんなも「そうだ」と応えるようだけれど、その同調の声がやや弱く聞こえるのは、やっぱりカウンターとベンチを間違い、挙句の果てに店の入口を店の人に教えるというのは、仲間として少し恥ずかしいという気持ちがどこかにあったからのようだ。
関川5:10≫7:45八方台登山口8:05≫11:30頂上

我々が頂上で記念撮影している時には池田さんはすぐ下で場所取りをしていた。

 

これが事件の小屋。池田さんは既にしっかりと座り、その横に中山さんが座ろうとしているし、隣のベンチには石山さんがちょこんと座り、三須さんも今まさに座ろうとしている。

バイトの学生が来て背もたれ(雨戸)を開けるところ。ベンチを取られた池田さんは残っていたビールを一気飲みしている。隣のベンチではまだベンチの気でいる石山さんと三須さんがよそ事のように食事中。しかしこの直後二人も同じ運命をたどり、ベンチに関係なく食事をしていた中村さんと裕美子さんの場所も店のまん前になり、結局全員が移動することになった。

 

後ろは猪苗代湖。やはり池田さんの顔がさえない。

檜原湖をバックに

帰りはスカイバレーを通る。その途中で。