蜘蛛と猫

 歴史館の私が車を停める横の半藪花壇に大きい蜘蛛が巣を張っていた。肉食の生き物はライオンから蟻地獄まで好きでないので、大きな蝶が一匹掛かって食われているのを見て、第二の犠牲を見ないために巣を払った。藪の中に落ちた蜘蛛を見て、またここに巣を張らなければ良いがと思ったが、翌日には立派な蜘蛛の巣を同じ場所に張っていた。巣を張るだけが蜘蛛にとって仕事らしい仕事だから、これだけ集中してやってしまえば、後は獲物が掛かるのを待つだけ、そんな感じの仕事っぷりだ。ただ、再び張った巣を見て、ちょっと驚いたことがあった。最初の巣になにか花粉のようなものが一列に引っ掛かっていると思った、その列がまた出来ている。つまり、この特殊な列は蜘蛛が作っていた。どうしても必要なのでまた作ったようだ。調べてみると女郎蜘蛛だとばかり思っていたこの蜘蛛、コガネグモという種類らしい。巣に花粉が引っ掛かったような白い列は花と見せかけて敢えて白い糸を出して作った「かくれおび」という名前が付いている。花と思って昆虫が寄ってくる仕組みと書いてある。蝶や蜻蛉が掛かって足掻く姿は見たくないが、初見の蜘蛛の生活態度をもう少し見たい気もするし、このまま看過するかどうか迷っている。
写真を撮っていて気付いたことがある。動かないで良い。山で出逢う珍しい蝶を撮ろうとしても近づけないし、接近できても羽を広げた瞬間はなかなか取れないが、蜘蛛は自ら頼むところがあるのか、微動だにしない。四方向に延びた白い帯が花弁で、その中心にいる黒と黄色のだんだら模様の自分が花芯だとすれば、多少のことでおたおたしては見破られるという気持ちがあって、じっと我慢しているような気もする。

 Tの猫群は、私の気配がない時、私が家のまわりをうろうろしない時は大変寛いでいる。外に出るのが躊躇われるほどのんびりと猫の自由、生きる退屈さを楽しんでいる。しかし、私が近付くと蜘蛛の子を散らすように逃げていく。この猫達を題材にした「オッド・アイ」は肝心の夢の部分が書けなくて滞っている。すべて、触れられるまで近づけないもどかしさがある。
ピントがクモに合ってないので今日別のカメラで取り直して再掲します。
金曜日にあった上方二本の隠れ帯が昨日は無かった。

 



猫群の一匹は犬と半同棲している。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

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