オッドアイ・Tの猫とその一味

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オッドアイTの猫とその一味第95話「来世はハワイで」

そこに行けばすべては幻に見える。果たせなかった夢も守れなかった約束も、悔いも怒りも。鼻黒、半猫もそうだろう。水汲みさえしていれば、なにも考えなくて良い。鼻黒は鼻黒のまま、半猫は半猫のまま、そして私は今の私のまま、生きて暮らして何の悔いも無い...
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オッドアイTの猫とその一味第94話「鉾立に到着」

三通目の手紙を読み終えた時に、雲が太陽を隠して谷間に風が吹いた。吹雪になれば鉾立の急坂を登れるのは厄介だ。夏道ならジグザクに登って滑落こそないが、今は硬い雪を直登するしかない。一人が滑ればその後ろが巻き込まれて滑る。5人目が滑れば95人が滑...
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オッドアイTの猫とその一味第93話「猫塚」

Tの病気は脳梗塞です。海岸の病院でリハビリしているそうですが、家に戻ることはないでしょう。だからTの猫はもうTの猫ではないのです。Tの残した物は猫塚しかなくなりました。私の父母が健康で農業をしていた時代、育苗用のビニールハウスが二棟、そこに...
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オッドアイTの猫とその一味第92話「その後の餌係」

二通目の手紙 コロニャン禍で多くの猫が死んでしまい、その猫を埋葬する仕事で成金となったTは今や体を壊して施設に入っています。自分で増やした猫を処分して金を得ることは意図したことではなかったにせよ、自業自得の構図であり、病になったのは、その...
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オッドアイTの猫とその一味第91話「幾通もの埋もれた手紙①」

谷間は幸い晴れ、晴ゆえに雪は硬く締まって掘り出すのに難儀したが、幾体もの半猫郵便夫を掘り出して並べると、さながら彫刻公園で、撫でたり触ったりして鑑賞した。そのうち陽に当たって自然に解凍して、最初に掘り出した半猫郵便夫が私に手紙を渡した。私は...
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オッドアイTの猫とその一味第90話「猫足機能」

雪の降る夜は沢山の夢を見る。ただ、そうでない夜に見る夢同様、朝起きて覚えていることは無い。哀切な夢でさえ、小用の後までに忘れている。たとえそれが前世後世の暗示だとしても、潔く忘れて後悔さえできない。この朝もそうだ。我々は外に出た順に驚きの表...
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オッドアイTの猫とその一味第89話「大石山から冬が来て」

早月尾根から劔に登る前にTと猫との話を百話をもって終えようと思っていましたが、到底叶いません。なぜならその山行は数日後に迫り、天気予報も良く予定通り実行されそうだからです。前回の話ですが半猫はこうも言ってました。「人間なんてものは退屈しなく...
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オッドアイTの猫とその一味第88話「半猫金目銀目」

T学芸員も私も大きな声を出すほど2億円に驚き、その行方に関心を持った。そして、その日から三色毛皮婦人が来なくなったところまでが前回の話である。 「会場使用料が1%としても200万円です」と言ってT学芸員はまた声を上げて驚いた。当館の年...
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オッドアイTの猫とその一味第87話「アートブックダイエット」後半の①

小屋から出てきた亀川さんは私に二枚の紙を渡した。一枚は預かり証で「人間一体(毛)。生き返ったらすぐ下山して医者に診てもらうこと。生き返らなかった寝袋として当山小屋で使用」。もう一つは手紙であった。 「学芸員の彼女が素っ頓狂な声を出して私に...
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オッドアイTの猫とその一味第86話「屋根で干す」

半端な人間がその本人でさえ処し難いように、感電した半黒半猫も担ぎにくい。感電のせいか毛の一本一本がピンと立ってヤマアラシのようになってとても痛いし、逆に体はぐにゃぐにゃでずり落ちてくる。とげとげのぐにゃぐにゃを何度も草地に落としては担ぎ直し...